今回U-22プログラミング・コンテストの実行委員、審査委員としてご協力いただいた皆様から、審査に携わったコメントを頂きました。委員それぞれが感じた応募者、作品に対する想いがたっぷりつまってます。是非ご覧ください。
●実行委員長
青野 慶久
(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
今回、経済産業省からCSAJに運営が移り、コンテストが継続できるか不安でしたが、たくさんの応募をありがとうございました。
優れたユーティリティ、新しいエンターテイメントの形、社会を守るセキュリティ、未来のEC、リッチなプログラミング環境など、レベルの高い作品の数々を見て、これから若い人たちのプログラミングが世界を変えていくことを確信しました。
また新しい作品を見せてくれることを楽しみにしております。そして、世界をより良いものに!
●実行委員
和田 成史
(株式会社オービックビジネスコンサルタント 代表取締役社長)
今年から募集枠が2歳拡大され、応募総数は昨年から倍増する結果となりました。このコンテストで、モノづくりの大切さ、素晴らしさを、若い人たちに経験してもらうチャレンジの機会を提供できたことは、大変嬉しいことです。
最終審査まで残った優秀作品には、時代の変化を適切に捉え、その変化に適応した新しい技術を採用したソフトウェアも多く、変化することを恐れないエネルギーと将来性を感じました。
また、惜しくも審査を通過しなかった作品も、モノづくりの楽しさとソフトウェアの可能性は感じることができたと思います。
明確な方向とビジョンが決まったら、結果が出るまで"ぶれずに""あきらめずに""信じて"続けていけば、きっと価値のあるものが生まれます。このコンテストが、モノづくりを通じて新たな価値を創造し、それを通じて社会に貢献していけるプログラマーの育成の場になることを期待しています。
眞杉 幸市
(首都圏コンピュータ技術者株式会社 取締役)
今回のU−22プログラミング・コンテストは、応募者の年齢制限が22歳まで
と、前年までより2歳上がったのですが、その影響か、応募作品数も増え、また、全体的に内容、完成度も素晴らしかったと思います。特に、最終審査に残った20作品については、いずれもすばらしい作品で、感動しました。
また、最終審査会でのプレゼンテーションについても、事前に十分な準備と練習をしてから審査会に臨んでいるのがうかがえて、応募者のコンテストに対する取り組み姿勢がわかり、採点で差をつけるのに苦労しました。また、11歳の小学生のプレゼンにはおどろきました。
今回、入選された方も、残念ながら入選できなかった方も、今後もプログラミングの技術をさらに向上させていただき、来年も応募資格のある方は、ぜひもう一度チャレンジしてください。みなさんの優秀な作品にもう一度出会えることを楽しみにしています。
田中 啓一
(日本事務器株式会社 代表取締役社長)
「これからが楽しみです」
20本もの 多種多様な クリエイティブなプレゼンを拝見させていただき、たっぷり堪能できました。
じっくり計画してチームで役割を決めて完成度の高い製品を作る、というスタイル以外に、アジャイル型でかついろいろなインターネットのサービスを駆使してどんどんと機能を足していくスタイルのアプローチの両方があり、時代を感じました。
また、どのチームも、取り組むにあたっては、プログラミングそのものの時間以上に、取材、勉強、調査などに多くの時間をかけていることが見て取れ、取り組みの真剣度合いを感じられました。
プレゼンターの中で、先輩のプログラムを見て、感動して、それを自分でも作れるようになりたい、と思って取り組んだ、という話がありました。こういった、憧れるとか、尊敬するといった存在が常にある層の厚さや、コミュニティーの存在が、今後のプログラミングの市民権獲得には重要だなと感じました。
日本事務器の企業賞「Useful賞」は、今回参加最年少の小学5年生が獲得しました。
22歳になるまでまだ沢山の時間があり、限りなく無限大の可能性を感じます。
皆さんのこれからが楽しみです。
樋口 泰行
(日本マイクロソフト株式会社 代表執行役 社長)
昨年と比べて応募作品が倍以上に増えたということ、最終選考20作品に、下は小学5年生から、中学生、高校生、高専生、大学生、専門学校の学生さんの作品が選ばれたことなど、能動的にコンピューターを使いこなす高度なプログラミングスキルを持つ学生さんの裾野が広がっていることを実感できる大会でした。
マイクロソフトは、全世界の学生さんが参加できるITコンテスト「Imagine Cup」を開催しています。今回、入賞された学生の皆さんは、日本で素晴らしい成績を残されました。次は、ぜひ、世界の舞台を目指してください。皆さまのチャレンジを期待しています。
長谷川 秀樹
(ハンズラボ株式会社 代表取締役社長)
最終審査会では小学五年生から大学生まで、若い方が頑張っている姿に感銘を受けました。プレゼンも大変面白かったです。作品の内容もゲームに人工無能、OCRと実に幅広く、年若い方々がこうしたものをつくっているところに、ITの技術が一段と進んでいく、違う世界に移っていく事が感じられ、とても楽しく、嬉しいコンテストでした。
ハンズラボ賞は「Shrift OCR Engine」に贈らせていただきました。僕ら小売業ではバーコードがオペレーションの基本になるのですが、パッケージの文字や画像から商品を認識できると便利だと常々考えていたんです。一からつくられた手書き文字認識エンジンであるこの作品を見て、将来的な発展性を感じて表彰させていただいた次第です。
荻原 紀男
(株式会社豆蔵ホールディングス 代表取締役社長)
昨年度まで経済産業省主催のU-20プログラミング・コンテストが今年度からはCSAJが運営事務局となり、民間主催のU-22プログラミング・コンテストに生まれ変わり開催に至りました。
率直な感想として、本当に実施して良かったと思いました。
最終選考に残った皆さんは、技術力、発想力、表現力のレベルが非常に高く、若い人たちの可能性と未来への力を感じました。
一方で、企業側としたときに、就職に繋げたいといった思いもあります。
次回への課題として、最終選考に残った皆さんとの座談会が開けると良いと思います。
応募者と企業の交流だけでなく、応募者間での交流も深まり、より良いコンテストになると思います。
また、今回はゲーム作品も多かったので、来年はゲーム業界からの参加企業が増えるよう呼びかけたいと思います。
最後に、受賞者の皆さん、おめでとうございます。
どれも個性と想いがあふれる作品で、大変感動しました。
これからも「プログラミング」で自分たちを表現していってください。
「プログラミング」で世界を変えていきましょう。
今後の皆さんの活躍に期待しています。
●審査委員長
小泉 力一
(尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授)
今年度は、「プロコン」として35回目の記念すべき年でした。今年度から実施体制が変更になり、多くの企業様にスポンサーとしてバックアップしていただき、青野慶久実行委員長をはじめとした実行委員のみなさまにはたいへんお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今年度は応募作品数が221件と昨年度の倍以上となり、「U-20」から「U-22」に変更された影響と思われます。実際、受賞された方の中には、かつてのプロコンで受賞し、年齢制限が上がったことで再チャレンジされた方が複数おられました。また、年齢層も、小学校5年生から大学4年生までと幅広いものでした。
最終審査に臨んで、これまでのプロコンに応募された作品と比べて、一段とレベルが上がったという印象を受けています。応募総数に比した受賞数の倍率も10倍以上になっていて、いずれの作品も、アイデア、完成度、ユーザビリティ、実用度などにおいて、甲乙つけがたいものばかりでした。作品それぞれに独特のコンセプトがあり、一概に比較することはできません。特に、最終審査における作者によるプレゼンテーションにおいて、制作の動機や苦労話を聞くにつけ、ここの作品の価値をあらためて認識した思いです。
政府が本年6月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」には、「初等・中等教育段階でのプログラミング、情報セキュリティ等のIT教育を充実させ」とあり、今後、わが国に若いIT人材が多数育成されることが示唆されています。来年度以降も、今年度に勝るとも劣らぬ作品が応募されることを期待してやみません。
●審査委員
新井 誠
(東京電機大学・日本工業大学・東洋大学 非常勤講師)
今年度は40作品について審査させて頂きました。全国高校生プログラミング・コンテストから始まって、U20プログラミング・コンテスト、そして今年度からU22プログラミング・コンテストへと新たなスタートとなり、大いにすばらしい作品に出会えることを期待していました。どの作品も「こんなことできたらいいな!」と普段から思い願っていたことを実現させるすばらしい作品であったと大変感動しています。ぜひ作品を公開して、多くの皆さんに使ってもらってください。
最終審査に残った20作品すべてに賞が贈られたことは、すべての作品が最優秀であってのかと思います。最終審査に残らなかった作品にもすばらしい作品がたくさんあったことは言うまでもありません。残念ながら入賞を逃した皆さん、途中でエントリーをあきらめた皆さん、年齢制限が22才以下と広がっています。再度チャレンジしてください。
竹迫 良範
(NPO法人日本ネットワークセキュリティ協会 SECCON実行委員長)
今年はU20からU22と応募できる年齢を引き上げたため、年上の大学生の作品ばかりが表彰されるのかな…と少し心配していましたが、蓋を開けてみたら小学生・中学生の作品も最終審査に勝ち残っていて、杞憂に終わりました。
むしろ年齢の層は上下共に広がった形になり、日本の若い学生さんの高い潜在能力を垣間見ることができました。未来は明るいですね。
自分の作りたいゲームを作る、人の役に立つソフトを作る、自分で設計したモノを動かしてみたい、モテたい、動機は何でもOKです。
車輪の再発明ができるのも学生のうちの特権です。プログラミングが好きすぎて目的と手段が逆転してしまっても大丈夫です。
若い人達が将来存分に活躍できる場所を用意していくのが大人達の役目ですが、楽しさを動機に今後もプログラミングを続けていける環境を作っていけたらと思います。
藤井 彰人
(独立行政法人 情報処理推進機構 未踏IT人材発掘・育成事業 プロジェクトマネージャー)
何れの作品も甲乙つけがたく、プログラムに込められたコンテスト参加者のさまざまな「アツい」思いに、審査員という立場ではありましたが、大変感銘をうけました。
特に、プログラミング言語を理解したいという気持ちから始まった小学五年生の「元素図鑑」やチームで議論を重ねて実現した「Projection Maaping カラオケ」には、プログラマの可能性とビジネスへの発展性を強く感じさせられました。
一昔前とは違い、プログラミングを始めるというハードルは年を追うごとに下がっています。誰もが、どんな年齢であろうとも、プログラミングで世界を変える可能性を持っているということです。今回のコンテストは、そのような大きな可能性を感じさせてくれたのではないでしょうか。
これからもさらに多くの若者がプログラミングを通じて、「楽しく」本コンテストにチャレンジしてくれるようにと祈っています。
まつもと ゆきひろ
(一般財団法人Rubyアソシエーション 理事長)
今年のコンテストは、本年から対象年齢が向上したこともあって、例年以上に応募作品のレベルが向上していて驚きです。年齢制限があるコンテストではありますが、大人の作品と言っても誰も疑わないほどの完成度が高い作品ばかりで、若年層のプログラミングレベルの底上げは確実に進んでいることを実感します。今年は特に私好みの言語処理系であるとか、システム系ツールであるとかの応募が多かったのも嬉しいですが、すぐにでも国際展開できそうな作品が複数あったことにも感動しました。
※敬称略・委員長以外各50音順