僕が中学生時代を過ごした1980年代初頭はまさにパソコンの黎明期、そして発展期でした。アメリカではApple社からApple IIというパソコンが発売され、日本ではNECからPCシリーズが発売され、そこから毎月のように新製品や新技術が発表されていました。でも、プログラミングをやりたくても、発表されたばかりの技術ばかりなので、プログラミング環境もあまり整っておらず、そもそも中学生が、大人が書いた難しい技術書も読んでも全く意味がわからず、とにかく、パソコン好きの友達で集まって、みんなで知恵を出し合って、また勘にたよって試行錯誤でいろんなことをしていました。
また、僕はプログラミングを学校で習ったことがありません。でも、今、学校でプログラミングを教えています。習っていないのに教えているというちょっとした矛盾(?)の中、本当にあっているのだろうか? こんな教え方でいいのだろうか? と毎日、自問自答をしながら(あ、もちろん調査もしながら)やっています。
プログラミングそのものもしかりです。習ったことがないので、未だに、この書き方は一般的なのだろうか? もっと効率のいいすばらしい書き方があるのではないだろうか? と、これも毎日疑心暗鬼の中、やっています。
皆さんもそうなのではないでしょうか?
これは、コンピュータやプログラミングという分野独特のことだと思います。
歴史のある、例えば文学や絵画などは先人が開発した「作るための手法」があり、ものすごくたくさんの人たちがそれを学び、その教育方法が確立し、そしてそれを共有する方法がたくさんあります。しかし、コンピュータに関しては日々、新技術や新製品、そして新しい概念が作られ続けているので、一定の「作るための手法」が確立しにくいです。
だからこそ楽しいのです。わくわくします。「そんな考え方があったのか?!」とか、「ものすごいことを思いついてしまった!」ということに日々遭遇します。
U-20プログラミング・コンテストの審査でもその「楽しさ」を感じました。楽しいから作ってる。そして、一般的な作り方は知らないけど、あんなものを思いついて、そして作りたいから、自分なりに工夫してちゃんと動くものを作りました、という気概が伝わってくるものが多くありました。完成度は高くないかもしれないけど、もしかしたらこれは化けるのではないか?というものもいくつかあります。
でも、僕も学生時代はそうでしたが、「このアイデア、自分ではとても面白いと思ってるのだけど、本当に面白いのだろうか?」ということがよくあります。そして、なんとなく自分の中でお蔵入りにしてしまったものがものすごく多くあります。そして、今、自分が大人になって、このコンテストの審査委員をして、そのときの自分について感じることはただ一つ「もったいない」です。思いついて「これだ!」と思ったアイデアは絶対に実現すると面白いです。
これを読んでいて、そして、なんとなく「あれ、やったら面白いんじゃないかなぁ」ということがある皆さん、そのアイデア、試してみましょう! ぜひ、U-20プログラミング・コンテストに応募してみてください。
2013年2月19日 U-20プログラミング・コンテスト実行委員 古堅 真彦
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