このコラムも3回目ということで、第一次審査も完了し、最終審査会を待つ時期だったりします。
ということで、作品を評価する際に抱く所感について書いてみます。
私自身、今回も予備審査と一次審査にかかわってますが、毎回感じるのは「評価が高い作品」は、見る観点は違えど審査に関わった委員の印象が良いということです。それと同時に「委員の意見が割れる作品」もありますが、これは場合によります。
よい作品、評価の高い作品は、例外なく作品自体の完成度が高いといえます。
選に漏れたからといって、作品自体の完成度が必ずしも低いということはないのですが、それでも「残念に思うこと」がないわけではありません。この「残念に思うこと」「あと少し!」は、前述の「委員の意見が割れる作品」についても多く見られます。今回はそういう「もうちょっと工夫すれば!」というところを挙げてみましょう。
以下は、審査の現場で耳にすることのあるコメントをざっと集約したものです。
・想定ユーザや対象がわかりにくい/わからない
・作品自体が何を実現しているのかがわかりにくい/わからない
・長時間の使用を通じてでないとわからない
このコンテストは「プログラミングコンテスト」なので、実行結果だけを見て評価を決めるということはありません。全委員、当然のようにソースコードやドキュメント類などは読みますし、そうすることが私を含む委員に求められていることなのですが、それでもやっぱり限界(主に時間が足りない)があります。
昨年のコラムでも述べましたが、これまでに委員の多くから好評を得た作品に共通する特長は、
・動かせば何をするのかが明快にわかる
・使う側のことを考えた構成になっている
・作者の主張する目的を達成するのに加え、さらなる応用を想起させる
というところです。さらに加えるならば
・コードが読みやすい
というのも挙げられるでしょう。意見が割れる作品であっても、コードが読み易ければ評価は高くなる傾向にあります。逆にコードが読みづらい/そもそも人が読めるようなコードがないとなると、あくまでこのコンテストは「プログラミングコンテスト」ですから評価は低くなります。
これは別に特別なことをしろと言っているわけではなく
・ファイルは適切な単位に分割する
・内部で用いるデータ構造は、合理的かつ明快に設計する
という具合に、第三者によるコードの可読性を向上させるという「ごくあたりまえ」のステップを踏んでほしいということを意味しています。
過去の作品も含め、多くの委員をして「これはすごい!」と言わしめた作品は、作品が目指すところや使い勝手が明快であるのは言うまでもないですが、コードの可読性も非常に高く、応募者のスキルの高さを伺わせるものでした。
来年の応募を検討されている方々は、こういう「ユーザには普通は見せない部分」にも凝ってみてはいかがでしょうか?
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